ぽすたるワイド的ニュースデスク

前回は『ガルパン』に出演した椎名へきるさんをネタに、もとい、フィーチャーしたワケだけど、折しも今年は椎名さんにとって「アーティストデビュー20周年」であり、『hm3 Special』や『Pick-up Voice』といったアーティスト寄り声優情報誌に載ったインタビューをまとめた書籍『HEKIRU FILE 2』も発売されるという。
そこで、アニメイトTVにて掲載された前後編インタビューを紹介してみる、

4872791568HEKIRU FILE―1997‐2004 HEKIRU SHIINA
椎名 へきる
音楽専科社 2004-07

by G-Tools
4872792629HEKIRU FILE〈2〉2004‐2013
椎名へきる
音楽専科社 2013-10

by G-Tools



■声優アーティストという捉え方―アーティストデビュー20周年を迎える椎名へきるさんへインタビュー【前編】(アニメイトTV)

――へきるさんの後に続く形で、声優と歌の両立をしていく人たちが増えてきたし。今や、そのスタイルは当たり前のものになっている。そう捉えたら、しっかり後へ続く人たちへの道を作りあげてきたわけですからね。


椎名:だとしたら嬉しいです。おっしゃられたように、今はそれ(声優アーティストというスタイル)が当たり前という時代になっているからこそ、人それぞれに(声優を軸に据えたうえでの)いろんな表現方法もあるんですけど。わたしがその活動を始めた頃には、お手本となる方が誰もいなかった。だから、一つ一つのことを手探りしながら進んでいたんです。

インタビュー前篇では「声優アーティスト」の先駆者だった頃を振り返る椎名さん。
前例の無い活動スタイルだったため批判や風当たりも少なからずあったらしく「あの時代にTwitterがあって「声優アーティスト」なんてタイトル記事がでたら、とたんに大炎上ですよ」とか「アニメファンからの批判を面白半分に書き立てる雑誌もありました」と語っている。
当時の批判について「いずれ分かってくれると信じてやっていくしかなかった。それが伝わってくれての今なら、ホント嬉しいことなんですけど」とも語る椎名さん。当時批判していたファンに、この声が届いていることを祈ろう。


そして後進である今の若手声優さんに関して、こんな事も話している。

――今の若手声優さんたちは、最初から顔出しもあることを前提のもと、この世界へ入ってきていますからね。


椎名:そう。この間も若い子たちと話をしてて「そうなんだぁ」と驚いたことなんですけど。今は、一つのレギュラー作品にオーディションで受かると、声優として求めていた全部の夢が叶っちゃうそうなんです。


――えっ、それはどういうことですか?


椎名:「一つのアニメ作品にレギュラーで受かっちゃう(ただし主役級)と(雑誌などで)グラビア撮影をやれて、ラジオ番組が付いてくるからラジオ番組のDJが出来て、イベントにも出れれば、(キャラクターソングなどの)歌も唄えて、CDも出せて、さらにオープニングかエンディングの曲も唄えちゃうんですよぉ。
1本の作品で、声優として叶えたかった夢が全部叶っちゃうんです」って言われたんですね。わたしたちの時代は、そんな簡単なものじゃなかったから、「そんな簡単に夢が叶っちゃうんだぁ、すごーい!すごーい!!」と、わたし的には大興奮なお話だったんですけど。
わたしが若手の頃は、個人名義でCDを出すことだって簡単にできることではなかったですし。まして作品のテーマ曲なんて、レコード会社の方々がものすごく頑張って営業をしながら、競争を勝ち取ってようやく唄えるか…という環境でした。それが今じゃ、「作品のヒロイン級だからテーマ曲も歌ってください」とゆうものも多いですよね……。

確かに最近…というか、椎名さんがブレイクした「アイドル声優ブーム」以降、声優のみならず演じるキャラクターが。ひいてはアニメ作品自体が「アイドル化」して、CDリリース・イベント・ラジオ番組・グラビアなどのアイドル的活動が一括して行われるようになった。
これらの活動を20年前に、それこそ前人未到の地を開拓するが如く初めていた椎名さん。複雑な心境がインタビューの端々から垣間見えるなぁ。


続く後篇では現在から今後についての話題が中心。
■「何事も自分で体験しよう」――アーティストデビュー20周年を迎える椎名へきるさんへインタビュー【後編】(アニメイトTV)

――「HEKIRU FILE 2」の話にくっつけちゃいますけど。この本には、へきるさん自身が影響を受けたアルバムや漫画について語った話もたくさん掲載されています。


椎名:そうですね(笑)。人って成長していくものじゃないですか。たとえ自分では「変わってない」と思ってても、時代や人との出会いによって、やっぱし変わっていってるんですよね。もちろん変わっていくきっかけも、迷走したり、壁にぶつかったり、乗り越えたときに新しい自分を発見できたりなど、いろんな経験の積み重ねがあってのことなんですけど。それでも前へ進み続けていれるのは、何か試練があっても、かならず幸せを実感できているからなんです。
その形が何でもいい、人って幸せを見つけると先へ進んでいけるんです。わたしもまた、いくつになっても「幸せのスタートラインに立っていたい」し、「幸せのスタートラインに立ってなきゃいけない」と思うんです。その一歩が小さく些細なことでもいい、自分がスタートラインに立てている気持ちにさえなれれば、何かを始めたりチャレンジしていくうえで、それが大きな勇気になっていけるんです。そういう、スタートラインに立てる気持ちを何時でも持てる自分でいたいなと思います。


――そんなへきるさんは、永遠の何歳なんですか?


椎名:わたし、「永遠の19歳」ってファンの人たちには言ってるの。しかも、「へきる星に来れば、みんな永遠に19歳になれるんだよ、何時だって青春だから」って。


――なるほどー!!あのコンサートでの異常なまでの熱気と興奮と盛り上がりは、みんな永遠の19歳だからなんですね。

デビュー20周年を迎えても「永遠の19歳」とか「へきる星」とか誇らしげに語る椎名さんは、やっぱり凄い。
これも20年間に渡る自らの活動に、揺るぎない自信と誇りを持っているからなんだろうな。