ファーストなのは視聴録(前)

先日予告したとおり、『魔法少女リリカルなのは』の第一期…俺的表現で言えば「ファーストなのは」の感想を書いてみる。


この作品、放送は2004年10月から3ヶ月というから、2年半も前なのか。当時から人気になっていたにも関わらず、結構長いこと放置しちゃったな。今頃になって感想を書くのは、思いっきり時期外れな気もしないでもないけど、それでも書く。
元々は成人向けゲーム『とらいあんぐるハート3』からのスピンオフ。こっちに関しては、今回のイッキ視聴に際してネットで軽く情報収集したくらい。正直、『とらいあんぐる』の設定は意識する必要無いかも。『なのは』はパラレルワールドとして独自の世界を築いているし。


と、前置きはこれ位にして感想のようなものへ。
今回は全13話の前半部分、1〜6話について。


【#1〜#3】
物語の導入部分はオーソドックス。「高町家の末っ子、なのはちゃん(9歳)が魔法の国からやって来たフェレット型少年ユーノくんのお願いで、不思議な宝石"ジュエルシード"を探すことになりました」というもの。
ここだけ観たら『ジュエルシードコレクターなのは』だな(笑)。
印象的だったのは1話の、魔法に出会う前のなのはについて。「家ではラブラブな両親と仲良しの兄姉に挟まれて、ちょっと浮いている」とか「友達と比べて、自分の取り得や将来の夢が分からない」とか、自分の境遇に少なからずコンプレックスを持っていたこと。この後、ジュエルシードが産み出した魔獣に襲われているユーノを救うために、半ば成り行きで魔法少女に変身。その後も「ユーノ君のお手伝い」ということで、ジュエルシードを集めることになるんだけど。非常識な力を手にした事への驚きや戸惑いが殆ど無く、あっさりと受け入れてしまったのが意外。もちろん、1クール作品という制約があったのだろうけど。
なのはにとっての「魔法少女」というは、初めて手にしたアイデンティティであり、その活動はさながら「自分探しの日々」なんだろうな。


【#4〜#6】
4話で「もうひとりの魔法少女」こと、フェイトが登場。ここから先はフェイト側のドラマが中心になる。それに反比例して、なのは側のドラマ…具体的には高町家の面々や、友人のアリサやすずかの描写が次第に減ってゆく。
これを顕著に表すエピソードが6話にあって、魔法少女としての日々に疲弊するなのはを、アリサやすずかは心配する。でも、なのはは事情を話さない、「私は魔法少女です」なんてコトを話せるワケが無い。そしてついに、アリサが怒ってケンカになってしまう。この時のセリフで「困っているなら話して欲しい。何にも出来ないかもしれないけれど」とあるんだけど、その通りなんだよなぁ。
物語の焦点が「日常の中に潜む魔法アイテム(=ジュエルシード)」から、なのはとフェイトという「魔法少女同士の非日常的バトル」に移ったから、日常の象徴である家族や友人の存在は小さくなってしまう。
これはヒーロー・ヒロイン物の宿業と言うべき状態で、最初は日常描写が多めで出番の多かった「普通の友達キャラ」が、ストーリーが進んで戦闘描写が大半を占めるようになると出番が激減する。そしてキャラクターも、主人公と戦いを共にする「戦友」が続々と登場する。物語的に必要とされているキャラが、某まっすぐゴーなアニメじゃないけれど「友達から仲間へ」になってしまう。そして仲間になれない、仲間として戦う能力の無いキャラは、結果的にストーリーから排除されてしまう。それが主人公にとって掛け替えの無い「家族」や「友達」だったとしても…。
仄聞によると、当時の視聴者の間では「アリサとすずかも魔法少女になる」なんて予測もあったらしい。これは二人の出番が激減するのを惜しんで流れたものなんだろうな。


残りの7〜13話は、また後日