今週きづいたこと

今週気づいたこと!




スポーツ物の漫画やアニメは、リアルには勝てないんじゃないのか!
特にサッカー物!

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ポニーキャニオン 2011-02-16

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いや、暴論極論かもしれないけれど…。


ご存知、サッカー日本代表チームが優勝を飾ったアジアカップと絡めて考えてみたワケさ。
南アフリカW杯からまだ半年だというのに、サッカー界はお祭り騒ぎが次々と起こるなぁ。
これだけ興奮と感動と狂騒が続くと、フィクションであるサッカー漫画&アニメに及ぼす影響もデカイだろうし、そもそもリアルなサッカー界がもたらす興奮と感動と話題性には勝てない気もしてくる。


とりあえず、日本代表のザッケローニ監督をモチーフにした「イタリアで名門クラブを幾つも率いた実績を持つ名監督」が登場するのは基本中の基本だね。


さらに、主人公のチームが「アジアチャンピオンを決める大会」に出場して、「中東の笛」こと理不尽な判定やら主力選手の負傷離脱やらに苦しめられつつ勝ち上がる。負けたら終わりの決勝トーナメントでは、準々決勝で開催国のカタール戦(南米やアフリカからの帰化選手が多く在籍)では「2度のリードを許すも追いついて終了間際に勝ち越しゴール」とか。続く準決勝の韓国戦では「リードを許すも追いついて延長戦で逆転するも終了間際に追いつかれてPK戦に縺れ込んだ末にゴールキーパーが止めまくって勝利」とか。クライマックスである決勝のオーストラリア戦(過去に何度も敗れた因縁の相手)では「敵のパワープレーに圧倒されながらも後半の選手交代で立て直し、延長後半には途中出場のフォワードがビューティフルボレーを叩き込んで均衡を破り、最後の猛攻もチーム一丸で守り切って優勝」という、怒涛の超展開が連続。


さらに付け加えると「ビューティフルボレーを叩き込んだフォワードは在日韓国人で、それ故の苦悩に苛まれていたけれど…」なんてヒューマンドラマや、「決勝点をアシストした左サイドバックが、その数日後にはイタリアの超名門チーム(国内リーグを5連覇中の上、欧州王者を決める大会や各大陸の王者が集まる大会でも優勝)に電撃移籍」なんてサクセスストーリーもあり。


こんな超絶盛り上がる物語を描いても、もはや「この前のアジアカップのパロディ」になってしまう。そんな現実の恐ろしさ。


そんなことを考えている折に見つけたのが、こんなスレッド。
■『少年ジャンプ』新連載はまたサッカーかよ・・・何度目だよ
ここ数年、週刊少年ジャンプでは「サッカー漫画が始まっては即効打切」というパターン繰り返されているという。かつて『キャプテン翼』という大ヒット作を生み出したジャンプとしては、『翼』の後継者となるサッカー漫画を常時掲載しておきたいのだろうし。それが失敗している原因についても、上記スレッドでは色々な理由(「世間が盛り上がるのはワールドカップだけ」など)が出ている。

でも僕が思うに、今では(仮にワールドカップ関連だけにせよ)世間(=読者)がサッカーで盛り上がることが遥かに多くなり、さらにはサッカーについて圧倒的に詳しくなっていることが原因だと思う。
極論すると、サッカーが実在する種目であり、さらにはスポーツ自体が実在するテーマである限り、行き着く先は「リアルサッカー界のパロディ」になってしまうのではないか。故にリアルさが魅力に成り得る青年誌ならともかく、奇抜さや目新しさやアイディアが勝負の少年誌では不利なテーマのではないか。

僕は1980年代の『翼』に加えて、1990年代にバスケブームを起こした『SLAM DUNK』もリアルタイムで読んでいたクチだけど、当時はサッカーもバスケも世間(=読者)にはあまり知られていない、「体育や部活でやるスポーツ」という印象だった。故に『翼』や『SLAM DUNK』は「未知なる題材のドラマ」に等しく、だから興奮や感動ができたんだと思う。
でも今では、サッカーはすっかりお馴染みのスポーツになり、ワールドカップアジアカップ、さらには国内リーグから海外のトップリーグまで、様々な試合を見て「興奮と感動」を味わえるようになった(バスケットボールは残念ながら、そこまで至ってないけれど)。
一方、近年の『翼』シリーズは「名実共に世界最高峰のクラブチームであるFCバルセロナ(言うまでもなく実在のチーム)で大活躍する」という、誰もが憧れるシチュエーションに主人公・大空翼がいる関わらず、イマイチ盛り上がっていない(それどころか非難轟々だったりする。正直、僕もだいぶ前に読むのを止めてしまった)。
それは「もしも翼クンがFCバルセロナにいたら」という、極めてベタな「リアルのパロディ」に陥っているからだと思う。

そう考えると、スポーツ物の漫画やアニメをヒットさせるのは難しいご時勢なのかもしれない。1980年代の『翼』や1990年代の『SLAM DUNK』のような大ヒットとなるスポーツ物の題材は、「今、流行の種目」ではなく「これから流行になる種目」、否、「この作品によって流行にする種目」なのだから。