機甲戦記ドラグナー(6)

DVDを視聴完了してから、もう2週間か…記憶が薄れないうちに書いておこう。


今回はクライマックスの41〜48話について。既に戦争の大勢は決し、ドルチェノフ率いるギガノス軍は宇宙の機動要塞に立て篭もり、最後の抵抗をしていた。
ここは戦争というマクロから、ケーンとマイヨというミクロな二人の立場で物語が進む。ケーンは母・アオイを人質に取られ、あろうことかギガノス軍に投降してしまう。一方のマイヨもドルチェノフへの復讐のみを目指し、要塞に無謀な特攻をかける。ここまできたら「戦争」は単なる舞台設定。片や母への想いを、片や仇への復讐を貫くためにかつての味方と刃を交えることになる。
以下、少し長くなるので畳みます。


ご存知の通り、この辺りはマイヨたちがメインに伸し上がっています。特にミンは、グンジェム隊が崩壊して途方に暮れていたところをマイヨに出会って大ブレイク。プラクティーズ相手には強気で振舞うも、マイヨと二人きりの場面では女性らしい仕草や口調を見せる…現在で言うところの「ツンデレ」ってヤツかな。そしてクライマックス*1ではドルチェノフを追い詰めて、その悪事を暴く大仕事をやってのける。『ドラグナー』のヒロインはリンダといいローズといい女性(女の子)らしいキャラだったので、「戦うヒロイン*2」としてインパクト充分。


ところで…全話通して観ると、マイヨがクライマックスで目立つようになったのは必然に思える。というのも、マイヨはこの戦争における、というか『ドラグナー』における業やら悲劇やらを一身に背負っていたキャラだから。敵味方に別れた父と妹がいて、心酔している指導者(ギルトール)と信じる理想があり、さらにはその理想を奪った仇敵まで現れた。そんな色々な因縁を背負っているから、クライマックスではそれらに決着を付ける必要があった。ここでのケーンたちは、ドルチェノフを討つのに助太刀したり、マイヨとリンダ&プラート博士の和解に一役買う、言わばマイヨの因縁を解決する「お助けマン」に徹することになる。


そして「お助けマン」的なポジションで「主役」に成り切れない…というのは、この戦争におけるケーンたちのポジションそのままだったりする。元々は民間人で、ドラグナー搭乗者という特殊な立場だけで軍隊にいるのも、「助っ人軍人」みたいだし。加えて、中盤以降はグンジェム隊討伐という非主流の任務に就いて、戦況を一変させた「主役」は量産されたドラグーンだった。
とは言え、ケーンたちが戦争の中を、そして『ドラグナー』の物語を熱く駆け抜けて行ったのは事実。「アイダホの難民(特にリンダ)を助けたい」「ギガノスが許せない」「戦争を早く終わらせたい」そんな単純明快過ぎる理由で戦い、時には「お袋を助けたいから」と至極個人的な理由で敵に寝返る。そして最後には「リンダの兄さんだから」と、幾度も刃を交えたマイヨですら救ってしまう。戦争モノの主人公…つーか、それ以前にキャラとして問題だらけかもしれないけど。
友達や家族や想い人のために命を懸けてる、愛すべき熱血馬鹿の物語というのが、『ドラグナー』を観終えた今の感想です。


次回は総論というか、おまけというか、あとがきのようなものを…。

*1:最終回の一話前

*2:そう言えば唯一の女性パイロットだっけ