超獣機神ダンクーガ 失われた者たちへの鎮魂歌

「心の磁気テープ」ライブラリより観直し。
一昔前は矢尾一樹氏の「やぁってやるぜ!」で、現在では『スーパーロボット大戦』シリーズでお馴染み*1の『ダンクーガ』ですが、1985年の本放送は打ち切りに遭った不遇の作品でした。そして本作は救済策として、ムゲ・ゾルバドス帝国との決着を描いた完全オリジナル作品…のはずが、その大半はTVシリーズの総集編な罠。
もっとも、当時はTVアニメがソフト化されることが無かったのだから、これはこれで需要があったんだろうな。(そう考えると、僕らはなんて恵まれた時代を生きているんだろう)


総集編パートは副題の「失われた者たちへの鎮魂歌」が示すように、TVシリーズで散って行ったキャラを回想する。
ここで目立つのはライバルのシャピロ。最初は主人公である獣戦機隊の上官で、しかもヒロイン沙羅の恋人として登場。しかし、その頃から既に「俺は宇宙を支配するんだ」という誇大妄想に取り憑かれていて、ムゲ帝国の侵攻が始まると真っ先に寝返ってしまう。そして地球侵攻の参謀となり、獣戦機隊の面々と死闘を繰り広げるも、最後は捨て駒として倒されてしまう*2(TVシリーズはここで終了)。とは言え、野望の赴くままに戦う姿と、演じていた若本規夫*3の演技も相まって、なかなか魅力的な悪役だったなぁ。
後期ED曲の「SHADOWY DREAM」は「♪野望に懸けたい男には〜」という歌詞が示すように、まさしくシャピロのテーマソング。


新作パートは、敵の本拠地“ムゲ宇宙”に乗り込んだ獣戦機隊が、TVシリーズ序盤で倒して戦線離脱した敵幹部デスガイヤとの戦いを経て、ラスボスのムゲ帝王と対決!…というもの。そのムゲというのが、また凄いキャラで「私は進化の究極の形だ!」とか言うし、亡霊を操って攻撃したり、ロボット物のボスキャラとは思えない。
以下、ネタバレになるので一応隠しておきます。


ラストはダンクーガの「戦いで死んでいったみんな、力を貸してくれ!」という渾身の断空剣でムゲ帝王を倒すが…。沙羅の「私たち、ボロボロだよ…悲しすぎるよ…」というモノローグに、宇宙を漂うボロボロのダンクーガと、コックピットで死んだように眠っている獣戦機隊。これは「全滅エンドか?」と思ってしまいそうだ。実際はこの後に続編が作られるのだから、生きているんだけど。
僕は『ダンクーガ』をリアルタイムで観ていないで、それこそ後になって「やぁってやるぜ!」とか『スパロボ』で知ったクチなので、熱血ヒーローロボットアニメかと思っていた。でも実際見てみたら、意外とシリアスで驚いてしまったっけ。

*1:噂によると『スパロボ』プロデューサーのお気に入りらしい

*2:続編のOAVで復活するけど、それは別の講釈

*3:当時の芸名は若本紀昭