がんばれ!キッカーズ ぼくたちの伝説(3)

昨日に続いて『キッカーズ』について書いてみる。
本作はいわゆる「弱小チームの頑張り」を描いた作品なんだけど。放送から20年経った今になって観直すと「痛い」と思ってしまう部分もあったりする。


その一例がシリーズ序盤の、南陽SCとの練習試合。地元最強を誇る南陽の猛攻によって、キッカーズは前半*1のうちになんと10点も取られてしまう。それでも必死に頑張るGK本郷くん。ちなみに彼はキッカーズのキャプテンで、いわゆる「頼れる先輩キャラ」で、おんぼろチームにいながらもそこそこ実力はあるように描かれていたんだけど…。
で、前半最後のシュートを、必死のセービングでキャッチ!そして「取ったぞーっ!」と、まるで試合に勝ったかのように大喜びする。そして後半。キッカーズも徐々に攻勢へ転じ、本郷の負傷退場がありつつも、試合終了間際になんとか1点をもぎ取る。それを見た本郷は「これは何よりも嬉しい!」と感動の涙を流す。
どちらも「試合には負けちゃったけど、おんぼろチームがこれだけ頑張ったんだ!」というシーンで、『キッカーズ』のテーマを最初に提示したエピソードなんだけど、心のどこかで「痛い」と感じてしまう俺ガイル。


その理由は現実の変化。『キッカーズ』の終了後、日本サッカーはプロ化して、W杯にも出場して、今回のドイツ大会では好成績(具体的にはグループリーグを勝ち抜いて決勝トーナメントに進出)が期待というか半ば義務化されている。
そんな急成長の中で絶えず耳にするのが「勝たなければ意味は無い」という論調。負けた時に「惜しかった」とか「感動をありがとう」というのはチームや選手への甘やかしであり、唾棄すべきである!…というのが、サッカーについて一家言ある者の常識だという。僕も、それは正論だと思う。だからこそ上述の『キッカーズ』のエピソードに痛さを感じてしまうんだよなぁ。
もちろん20年前と現在、現実とアニメ、プロと小学生という大きな相違点が幾つもあって、一概に比べられないられないんだけど。もし同じエピソードを放送したら、視聴者はどんな反応をするんだろう?
かと言って、現代風にリメイクされた『キッカーズ』では、翔が加わったことによってチームが急成長!どんな強豪相手にも連戦連勝!というのも、かなり痛いしなぁ。

*1:本作の試合時間は20分ハーフに設定