鳥山明の次回作

今回は、先日『ドラゴンボール改』が最終回を迎えたということで、『ドラゴンボール』についての話。


B003U3VGNOドラゴンボール改 人造人間・セル編 BOX1 [Blu-ray]
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B0047734QOドラゴンボール改 人造人間・セル編 BOX2 [Blu-ray]
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『改』は、この「人造人間・セル編」を持って終了。オリジナルの完結編である「魔人ブウ編」(または「悟飯青年編」)を残しているけど、これは区切りが良いからだろうか。
ともあれ、今回の『改』で新規ファンもついただろうし、フジテレビ(と東映アニメーション)はどれだけ『ドラゴンボール』で儲けるつもりなんだとか思ってしまう。


それもそのはず、『ドラゴンボール』は連載が始まった頃から、否、始まる前からアニメ化が宿命付けられていたのだから。


4877285253さらば、わが青春の『少年ジャンプ』 (幻冬舎文庫)
西村 繁男
幻冬舎 1997-11

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週刊少年ジャンプの創刊編集者であり、編集長も務めた西村繁男氏の著書。当然、鳥山明先生についても語られていて、「ジャンプの躍進は鳥山明の破壊的な活躍無くしては有り得なかった」と最大級の評価をしている。
そして、『Dr.スランプ』についての裏話として「ブームが一段楽して、ジャンプでの連載が完結しても、フジテレビは『Dr.スランプ』のアニメを放送し続けた。それは鳥山明の次回作のアニメ化を狙っていたからだ」と記している。
つまり『ドラゴンボール』はジャンプでの連載が始まる前から、それこそ『Dr.スランプ』という偉大なる兄を持った時点で、アニメ化が宿命付けられていたワケだ。
で、その狙い通り、否、狙いを遥かに超える程の大ヒットとなったのはご存知の通り。


ところで…「歴史は繰り返す」というべきか。その『ドラゴンボール』もジャンプでの連載が完結した後も、フジテレビは『ドラゴンボール』を放送し続けた。「ごめんなさい鳥山先生」こと(←違います)『ドラゴンボールGT』であり、さらにはリメイク版『ドクタースランプ』も放送した。
これも『Dr.スランプ』の時と同様に、『ドラゴンボール』に続く「鳥山明の次回作」もアニメ化しようと狙っていたに違いない。
しかし、『ドラゴンボール』後の鳥山先生は短期集中連載(単行本一冊分)が続き、結局は「ジャンプの看板&本格的冒険アニメ」という点で『ドラゴンボール』の後継者(=次回作)というべき『ONE PIECE』のアニメ化に至る。


ひょっとしたら、今回の『改』は「鳥山明の次回作」…は今更望むべくも無いけど、『ドラゴンボール』そして『ONE PIECE』に続き得る作品が出るまでの繋ぎだったのかもしれない。
ONE PIECE』に完結の兆しが見えないから、尾田栄一郎先生の次回作なんて何年先になるか解からないし。
で、そのお眼鏡に適ったのが『改』の後番組である『トリコ』なワケか。


最後に…『ドラゴンボール』連載終了後に鳥山先生が発表した短期集中連載作品を紹介。


4088725573COWA! 1 (ジャンプ・コミックス)
鳥山 明
集英社 1998-05-01

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4088726588カジカ (ジャンプ・コミックス)
鳥山 明
集英社 1999-01-08

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4088730399SAND LAND (ジャンプ・コミックス)
鳥山 明
集英社 2000-11-02

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いずれもオバケやキツネ憑きや魔王の息子と言った、個性的な少年キャラが各々の目的のために冒険を繰り広げるというお話。そして、その目的が果たされた時に、物語は完結している。
つまりは「ギャルのパンティおくれ!」で完結した『ドラゴンボール』とも言える作品。それと同時に、続けようと思えば幾らでも続けられて、主人公の少年も成長して多くの仲間と出会い、結婚して子供や孫にも恵まれ、大魔王や宇宙最強の戦闘民族や宇宙の帝王や人造人間や魔人を相手に、宇宙規模での激闘を繰り広げていたかもしれない。それだけの可能性を秘めていた作品。