『聖闘士星矢Ω』を観ていて気づいたこと

今週気づいたこと!

往年の人気作品『聖闘士星矢』の復活作『聖闘士星矢Ω』が話題を呼んでいる。

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というワケで、このビッグウェーブに乗って…


放送当時に「星矢の二番煎じ」のレッテルを貼られて、20年以上経った今では省みられることすら無くなった、あの作品やこの作品も復活して欲しいなぁーっ!

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上記の『鎧伝サムライトルーパー』『超音戦士ボーグマン』『天空戦記シュラト』は、「鎧もの」(あるいは「装着もの」とか「バトルスーツもの」)というジャンル区分だったけど、要は「『星矢」が人気的にも商業的にもヒットしているから、パクっちゃおうZE!」というコンセプトで作成された。


もっとも、商業的に見ると「鎧もの」は「星矢のパクリ」と言うよりは「ロボットアニメの後継者」というべきジャンルだったりする。


■アニメ=おもちゃのCM
『トルーパー』も『ボーグマン』も『シュラト』も、『星矢』とは違い原作漫画の無いオリジナルアニメ。
で、一昔前におけるオリジナルアニメの、特にその多くを占めるロボットアニメの、最大の目的は「玩具のCM」に他ならなかった。
80年代と言えば最初に『ガンダム』のヒットによるガンプラブームがあり、その商業的大成功を追うように多くのロボットアニメ(作風的にはリアルロボット系)が作られた。
やがてブームも沈静化して、ブームの火付け役であるガンダム自身の続編である『Zガンダム』『ガンダムZZ』が製作されるもブーム復活ならず。これで当時は、オリジナルアニメそのものが激減して、アニメ作品は人気漫画が原作のものが殆どになった。『星矢』も、そんな「原作付きアニメ」のひとつだった。


ところが、その『星矢』の主力商材であるフィギア「聖闘士聖衣大系」がバカ売れ。するとアニメ界は、否、アニメ界のメインスポンサーである玩具メーカーは、「ポストガンプラ」の役割をロボットアニメから「『星矢』のパクリ」である「鎧もの」に与えようとした。その結果作られたのが『トルーパー』や『ボーグマン』や『シュラト』だったりする。


特に『トルーパー』は制作会社がサンライズ、放送枠が名古屋テレビテレビ朝日系)土曜夕方5時30分という、『ガンダム』などのリアルロボット作品を続々排出してきたコンビ。まさにアニメのメインストリームが、ロボットものから鎧ものに変わったことを象徴していた。
…と言いたいところだけど、この「鎧ものブーム」は一過性に終わってしまう。


■ジャンルに成り得なかった「鎧もの」
『トルーパー』も『ボーグマン』も『シュラト』も玩具の売れ行きが不調で、いずれも1年持たずに話数短縮(=打ち切り)で終了している。
「やっぱりパクリはダメだな」と言ってはいけない。時期を同じくして「鎧もの」の本家本元である『星矢』自身も、原作漫画が連載中だったにもかかわらず、「ポセイドン編」にて終了。当時は「アニメが原作に追いついたから」という原作付きアニメ定番の理由かと思いきや、実は玩具の売れ行きが大幅に落ち込んだのも原因だという。
もしも売り上げが好調だったら、「アスガルド編」とか「鋼鉄聖闘士」とかのオリジナルキャラ(=新商品)を出してでも放送が続いていたかもしれない。


そして今年復活した『星矢Ω』では劇中の設定からして「聖衣(クロス)は聖衣石(クロストーン)というアクセサリーになった」ということで、往年の聖衣大系のウリであった「装着していない時の聖衣は正座を模したオブジェになる」が完全にオミットされてしまった。
さらに、かつての聖衣大系のようが玩具(もちろん子供向け)も発売される予定が無いらしい。
これはアニメとしても、そして玩具CMとしても、「鎧もの」というジャンルが完全に消滅したことを象徴しているようだ。


■玩具のCMから「作品自身のCM」へ
『星矢』は「玩具のCM」という役割を果たし終えて、『トルーパー』や『ボーグマン』や『シュラト』は役割を果たせぬまま、テレビ放送を終えた。しかし、新たな役割が与えられた、それはパッケージソフトを、つまり「作品自身を売ること」だった。


『トルーパー』も『ボーグマン』も『シュラト』もアニメファンに高い人気を得て、それを元に続編がOAVで作成された。
そして『星矢』もハーデス編のOAV化を経て、『星矢Ω』では純粋な「パッケージをメイン商材にしたアニメ」になっている。
この「アニメファン向けにパッケージソフトを売る」という構図は、特に『新世紀エヴァンゲリオン』以降の主流になるんだけど、これらの「鎧もの」のOAVもその源流に含まれている。


そう考えると「鎧もの」はアニメ界が「玩具のCM」から「作品自身のCM」へと変化して行く、節目の一つとなったジャンルだったのかもしれない。